技能実習制度等の誕生―外国人労働者政策と需要との乖離の中でー
技能実習制度は人材育成による国際貢献の制度として制定されたものである。
第二次世界大戦後の日本では、外国人労働者のうち高度専門職については受け入れるが、単純労働者(注1)に対しては労働市場の安定等の観点から受け入れない政策を取ってきた。しかしベビーブーム等による現役世代人口の増加が一段落した1980年代以降、バブル景気の影響もあって、単純労働者の不足が問題となった。発展途上国からの不法就労者が増える事態も生じ、それへの対応もあって外国人の単純労働の枠として法的な制度が設けられることとなった(山内[2019])。
その一つは、第二次世界大戦前に日本から移民した人の孫、つまりペルーやブラジル等の日系人を、難民等と同じ「定住者」資格で受け入れるというものである。これは1989年に開始したが、元々対象者が限られることもあり、2023年6月末の「定住者」資格在留者は難民・中国残留孤児も含め、21万人に留まっている。
二つ目は「研修」資格での受け入れである。技術等を習得するための研修として働くので雇用関係ではないが、生活費としての研修手当はもらえる。研修は1年であるが、さらに長期に研修が受けられるよう設けられたのが1993年に始まった技能実習制度である。当初はワーキングホリデー等と同じ「特定活動」として就労が認められていた。2009年に在留資格「技能実習」が設けられ、独立した制度となった。その際に実質的に研修制度を吸収して原則3年間までの制度となった(注2)。
技能実習制度は雇用契約に基づくものであるが、技術移転による国際貢献をその目的としており、基本的に実習期間が終わった時点で母国に帰り自身の技術を母国で活かすことが想定されている。今回の改正前の「外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律」(以下「技能実習法」)の第1条には、技能実習法の目的として「(前略)技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護を図り、もって人材育成を通じた開発途上地域等への技能、技術又は知識(以下「技能等」という。)の移転による国際協力を推進することを目的とする。」と記されている。また同法第3条第2項には「技能実習は、労働力の需給の調整の手段として行われてはならない。」と、第6条には「技能実習生は、(中略)本国への技能等の移転に努めなければならない。」とも記されている。外国人の単純労働者を受け入れない政策の下で技術移転による国際貢献の制度として技能実習制度が作られたことが見て取れる。
ただし現実には、技能実習終了後に次に述べる特定技能資格で在留を続ける道も現在は開かれている。
三つ目は「特定技能」資格での在留である。基本的に外国人の単純労働者は受け入れない方針を保ったまま、人手不足が特に顕著な一部の業種に関し、上限人数を決めて受け入れるのが「特定技能」資格で、2018年に創設された(注3)。技能実習より遅れて導入されており、その間に対象業種での人手不足がより深刻になったことが想定される。2024年6月現在では16分野に関して特定技能資格での在留が認められている(注4)。また技能実習を終え特定技能に関する資格を取得した在留者については、在留資格を特定技能に切り替えてさらに日本で働くことが可能である。
以上をまとめると資料1の通りとなる。
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